過去の紙資料の電子化は自社でもできる

2022/11/10

DXの推進、デジタルインボイスに代表される制度の変更で、デジタルを基盤とした仕組みが急激に増えてきています。さらに新型コロナによりリモートワークが増えたことでコミュニケーションに関するデジタルへの投資も急増しました。

 

このような変化の中で、多くの企業ではデジタルに対して、更なる投資が必要になってきています。投資額も多額になってくるので、何から投資をするべきか悩んでいる企業も多いでしょう。税制などの法律で決められたものは、投資をしなければ企業活動そのものに影響が出てしまいますので、優先順位が高い投資と言えます。逆に優先順位の低いデジタルへの投資については検討すらしていない、という企業も多いようです。

 

2021年JEITA 一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)が「日米企業のDXに関する調査結果」を公表しました。その中から日米のDXに対する投資予算が増える要因になるものは何か、という質問に対する回答をグラフ化したものが下の図です。(JEITAホームページより)

DXに対する投資予算が増える要因
 

上のグラフでは「法規制対応のため」という項目は非常に低い率になっています。2020年段階の調査ですが、その後、電子帳簿保存法やデジタルインボイスなどが注目を浴びてきています。今後はこの「法規制対応のため」や「未IT化業務プロセスのIT化のため」という要因は増加してくるでしょう。

紙資料はIT化の障害のひとつ

文書や資料関連のIT化が進んでくると、過去及び現在の紙の資料や文書はIT化の障害になってきます。紙資料はITの中で処理ができないためです。そこで、紙資料や文書を電子化するという作業が必要になってきます。

 

「すましょの鍵」では法規制対応、ITによる業務効率化などに関連して、紙文書の電子化について、いくつかの記事を掲載してきました。内容を総合すると、自社で紙文書を電子化するノウハウがわかります。これらの記事から紙資料や文書の電子化のノウハウをまとめてみます。

紙資料や紙文書の電子化に必要な知識に関する掲載記事

過去に「すましょの鍵」で紹介した電子化に必要な知識を記載した記事のタイトルは以下のようなものです。

1. 気がついていますか? データ保存のリスク (2022.4.6)
2. いまさら聞けない!ファイルフォーマット(2022.5.9)
3. いまさら聞けない!電子化と解像度(2022.5.25)
4. 解説!失敗しないスキャンのコツ(2022.5.31)
5. 文書の電子化!知っておきたい光と色の基礎知識(2022.6.21)
6. エントリー?OCR? 画像になった文字データの活用(2022.6.29)
7. いまさら聞けない!ファイルフォーマット(その2)(2022.7.21)
8. 困った!大サイズの画像が入った資料を送りたい(2022.8.2)
9.「カラーマネージメント」って聞いたことがありますか?(2022.9.15

 

これらの記事は自社で文書の電子化をする際に知っておくと便利な内容です。それぞれの記事が電子化にどのように役立つのでしょうか。

掲載記事は電子化作業のどこで役立つのか

上で紹介した記事が、文書・資料の電子化作業の中で、具体的にどの分野で必要な知識になるのかをまとめました。
下の図は文書や資料の内容、及びデジタル化をする作業工程での内容になります。それぞれの記事のタイトルを内容、工程ごとに分けて記載してあります。

紙文書(テキストのみ)

企業で保管・保存している文書の多くはテキストのみの紙文書が多いと思います。この場合、文書が画像として残っていれば良いのか、テキストを再利用するのかで電子化の内容が変わってきます。
テキストを再利用するのであれば、OCRやデータエントリーという作業が必要になります。記事ではこの詳細について紹介しています。テキストのみの紙文書でも、電子化作業の工程やデータ保存でのポイントは理解が必要です。

画像などが含まれる文書や写真

画像が含まれている資料は、画像の再現性がとても大切になります。画像がぼけてしまうと詳細がわからなくなりますし、色が正確でないと分析ができないなど、影響が大きくなります。
また、画像の場合は、ファイルサイズはどうしても大きくなります。ファイルサイズを小さくすることは可能ですが、適切な縮小をしないと画像が劣化します。画像が含まれている資料については特に注意が必要になります。

電子化作業

文書の種類だけではなく、作業工程でも注意が必要です。電子化するには、デジタルカメラで複写するという作業を含めて、スキャンという作業が必要になります。
電子化した後のオリジナルの紙文書は廃棄してしまうことがほとんどだと思います。従って、ここでミスが発生すると、二度とオリジナルを見られなくなるので、注意が必要です。

データ保存

作成したデータをどのように保存するのかをきちんと決めておかないと、後日、保存したデータを閲覧したくてもできない、ということになってしまいます。電子化されたデータを長期保存する目的の場合は、特にファイルフォーマットや長期保存に関する知識が必要になります。

社内で紙文書を電子化するか、外注をするか

冒頭で紹介したようにITに対する予算化は優先順位があり、社内文書の電子化に対する予算の優先順位はどうしても低くなりがちです。もし、戦略的に文書の電子化が重要で、予算化ができた場合は品質や効率性を勘案して外注を検討するべきでしょう。

 

予算化が難しい場合は、少しずつでも良いので自社内で電子化作業をすすめてみてはいかがでしょうか。スキャナー機能のある複合機と最低限の知識があれば、適切な文書の電子化は可能です。

 

また、電子化に対する仕様が決まっていれば、その仕様に沿って電子化を進め、将来、仕様に沿った外注をすることも可能になります。電子化作業の多くは人的労力で作業を進めるので、社外に出せないような機密書類は自社で、それ以外は外注すれば、費用の削減にもつながります。

まとめ

冒頭でも紹介したように、様々な制度やシステムの変化により、紙文書はどんどん減少していくことは確実です。
そうなると自社内にある紙文書、保管してある紙文書をどうするか、という課題に直面します。
どの文書を電子化して残すのか、もしくは廃棄してしまうのかを決めて、残す紙文書はすこしずつ自社内で開始してみましょう。すると、自社内処理がよいか、外注が良いかが見えてきます。これからのDXを含めた社内業務の変化を勘案し、是非、文書の電子化をその中に含めて検討してみてください。

この記事は2022年11月10日時点の記事です。

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