【スペースとコストを最適化】利用頻度が低い文書の「外部保存」
2026/01/06

はじめに
オフィススペースを占領する大量の紙の文書、探すのに時間がかかる書類、そしてそれらを保管し続けるコスト…。これらは、多くの企業にとって無視できない問題ではないでしょうか。
特に、作成から時間が経過し、日常的な業務ではほとんど使わなくなった文書、いわゆる「利用頻度が低い文書」の取り扱いには頭を悩ませるものです。
本記事では、オフィススペースと保管コストの最適化を図るため、利用頻度が低い文書を外部保存サービスへ移行する際の具体的な手順と、そのメリットについてご紹介します。
適切な文書管理体制を構築するためのヒントとして、ぜひお役立てください。
Contents
文書を外部保存することのメリット
利用頻度の低い文書が抱える問題
企業の文書は、法律や社内規定に基づき、一定期間の保存が義務付けられています。
そして、文書の作成から時間が経過し、利用頻度が低下しても、多くの場合、オフィス内の書庫やキャビネットに保管され続けるというケースがあり、以下のような問題の原因となり得ます。
・スペースの圧迫: 利用頻度が低い文書が、賃料の高いオフィススペースを占有することで、社員が働く場所や生産的な活動に充てるべきスペースが制限されてしまう側面があります 。
・検索効率の低下: 大量の書類の中から必要なものを探す作業は、非効率的で手間がかかり、業務効率の低下につながる可能性があります。
・管理コスト: 文書を保存し続けるためのキャビネット費用、管理工数、そして災害リスクなど、可視化しづらいコストも発生しています。
これらの問題を解決する一つの有効な手段が、文書の外部保存です。
外部保存サービスへ移行するメリット
利用頻度が低い文書を、専門の書類保管サービスなどの外部保存先に移行することには、以下のようなメリットが見込まれます。
・オフィススペースの創出: 物理的な書類をオフィス外に出すことで、空いたスペースを有効活用できます。
これにより、従業員にとってより快適な執務環境を整備したり、会議室や休憩スペースを拡充したりするなど、中長期的な従業員満足度の向上に資する環境への投資を検討しやすくなるという側面があります。
・コストの削減: 賃料の高いオフィスで文書を保管し続けるコストを、比較的安価な外部保存サービスの利用料に置き換えることで、全体的な文書管理コストの削減が期待できます。
・セキュリティと災害対策の強化: 専門の書類保管サービスは、地震や火災などの災害リスクに対する対策や、厳重な入退室管理によるセキュリティ対策を講じていることが多く、自社で保管するよりも安全性が高まるケースがあります。
外部保存への移行
移行対象文書の選定
利用頻度が低い文書を外部保存へ移行するにあたり、まず対象となる文書を選定しますが、この選定の基本的な基準は「参照する頻度」です。
例えば、「過去1年間、一度も参照されていない文書」ということになりますが、このような基準で運用可能であれば問題ありませんが、実際に何度参照したのかどうかというのはあくまでも個々人の感覚値になりがちで、結果的に「まだ参照するかもしれない。。。」という個人の解釈によって外部保存の道が絶たれてしまう可能性があります。
そこで、もう一つの方法は、「前年度の文書」あるいは「前々年度の文書」など明確な時間軸を設けることです。
この時間軸には明確な根拠はありませんが、時間の経過とともに文書の参照頻度が低くなることは否めない事実でもあるため、明確な時間軸を設定してしまったほうが運用がしやすくなる傾向があります。
・このように何らかの基準を設けないと、外部保存すべき書類を選定する段階で滞ってしまうことになるので、まずは時間軸を用いて基準を設けることをおすすめいたします。
外部保存への移行手順
移行対象の書類を選定したら、具体的な移行プロセスを進めます。
① 文書の特定とリスト作成: 移行対象となる書類を特定し、「文書名、作成日、保存期間、書類の担当部署、外部保存時の識別コード」などを含んだリストを作成します。
留意点: 実務上、リストの作成自体は内容を把握している各部署で行うのが効率的ですが、会社全体の統括やルールの運用管理は、総務部や法務部といった管理部門が担うのが一般的です。管理部門が各部から提出されたリストを集約・統括することで、会社全体の文書量や保管コストを一元的に把握・最適化できる体制が整います。
② 目録の整備と電子化(スキャニング)の検討: 外部保存後も文書内容をすぐに確認する必要がある場合に備え、リストと合わせて文書の目録を整備します。
可能であれば、電子化(スキャニング)を行い、データとして手元に残すことで、書類の現物を取り寄せる手間を省くことができます。
③ 外部保存サービス事業者の活用: 外部保存サービスの事業者を活用する場合、文書の梱包方法、集荷スケジュール、外部保存先での保管単位(箱単位など)や検索・取り出しリクエストの方法などを確認します。
④ 移行の実施と記録: 移行が完了したら、作成したリストを基に、「どの文書が、いつ、どの外部保存先に移動したか」を社内の文書管理台帳へ反映し、常に最新の情報へ更新します。
これにより、必要になった際の検索性が担保され、適切な管理が可能になります。
定期的な見直しと文書管理体制の継続的改善
定期的な見直し
企業の事業内容や法規制は変化するため、文書の保存期間や重要度も変わる可能性があります。そのため、策定した外部保存への移行ルールや文書の選定基準を、年に一度など定期的に見直し、最新の状態に保つことを推奨します。
また、最低でも年に1回は書類キャビネットの中を点検し、外部保存できる文書が残っていないかどうかを確認しましょう。
文書管理体制の継続的改善
外部保存を効果的に活用するためには、文書が作成された時点から、最終的に廃棄されるまでのライフサイクル全体を見据えた文書管理体制が必要です。
「利用頻度が下がった文書は外部保存へ移行する」というプロセスを組織の標準として定着させることで、執務室内への書類の集積を避け、常に整理された状態を維持することが可能になるでしょう 。
適切な外部保存ルールの策定と運用は、単なる書類整理ではなく、企業の経営資源であるオフィススペースとコストを最適化し、業務効率を向上させるための経営戦略の一つとも言えます。
まとめ
利用頻度が低くなった文書を外部保存するためには、一見簡単なようですが、意志をもって取り組まないと「まぁいいか」となって、結果的にほとんど参照することのない文書がオフィススペースを占有することになりかねません。参照頻度というものは個人の感覚値になりがちであるがゆえ、まずは時間軸での基準を設けて社内の運用ルールとすることをおすすめいたします。
