アーカイブと保管・保存
2022/06/13
はじめに
「アーカイブ」「アーカイブズ」という言葉をご存じでしょうか。皆さんもどこかで耳にしたことがあるかと思います。「アーカイブ」を辞書で調べると以下の内容で説明されています。
複数のファイルを一つにまとめること。あるいはまとめたファイル。書庫ともいう。その他、インターネットで古いソフトウェアや発言、メッセージなどをまとめて保存している場所をさす場合もある。本来は古記録、公文書、記録保管場所を意味する言葉。ⅰ
かつては紙媒体で記録されていた公文書等も現代においては電子媒体で作成され、保管・保存されることも多いでしょう。その流れに適応するように、アーカイブという言葉が持つ意味は広がりを見せています。近年ではデジタルアーカイブという言葉も生まれたほどです。今回はこのアーカイブと保管・保存について見ていきたいと思います。
オフィスでの情報・記録
情報化が進んだ現代社会において、行政や企業では日々多くの情報が生み出され、そして蓄積されています。皆さんの職場でも毎日のように紙媒体、電子媒体の情報が作成されているかと思います。そしてそれらの情報はその後、適切に保管・保存していくことが求められています。行政や企業で生まれた情報の中で法定保存文書に該当するものは、法律で定められた期間の保存が必要です。法律で定められている以上「うっかり紛失してしまった」は許されません。その文書は何年間の保存が必要なのか、起算日はいつなのか、そしてどこにどのような状態であるのか、しっかりと管理する必要があります。そして不要となったものは適切に廃棄まで行う。これらができて初めて、適切に管理されていると言えるでしょう。
研究機関での情報・記録
研究機関などにおいては、古文書や絵図などの史料をはじめ、行政資料や写真や音声・動画・ビデオといった電子データなど、保管・保存の対象は多岐にわたります。これらの情報・記録を災害などから守り、後世に残すことが重視されています。そのため、保存期間は原則永年となるものが非常に多くあります。長期的に利用可能な状態として残していくためには、温湿度管理や災害・虫害等様々な脅威に備える必要があり、保存・管理の難易度はオフィスで発生する情報や記録と比較して難易度が高くなります。だからこそ、歴史公文書等の適切な保存及び利用を図ることを目的とする公文書館などのアーカイブズ(記録保管場所)が求められているのです。ⅱ
アーキビスト
2022年に認証アーキビストという資格が誕生したことを皆さんはご存じでしょうか。アーキビストは公文書館をはじめとするアーカイブズで働き、重要な情報や記録の保管・保存を行う専門職員を指します。海外では大学などの専門機関で養成され、情報の保管・保存に特化した知識と技能をもつ専門の人材として確固たる地位を築いていますが、日本においては長く図書館司書や博物館学芸員となどと同一視されてきました。そのため、日本での認知度はまだまだ低いかと思います。アーカイブという言葉のついでに、日本にも記録の保管・保存に関するスペシャリストが存在することを知っていただけると幸いです。
さいごに
アーカイブと保管・保存についてご紹介をさせていただきましたが、いかがでしょうか。皆様の中には保管・保存の重要性は理解しているけど、何年分も蓄積された書類をいまからどうやって整理したらいいかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。三井倉庫ビジネスパートナーズではそういったお客様と0から保管・保存の体制を組み立てることが可能です。最適な保管・保存方法を一緒に見つけませんか?保管・保存だけでなく、電子化や電子化文書の閲覧システムなどの業務支援ソリューションを提案することも可能です。ぜひ一度、身の回りの情報・記録の在り方に目を向けてみてください。
ⅰ “アーカイブ”.日本大百科全書(ニッポニカ).Japan Knowledge.
https://auth.japanknowledge.com
ⅱ 国立公文書館法第4条 国立公文書館は、特定歴史公文書等を保存し、及び一般の利用に供すること等の事業を行うことにより、歴史公文書等の適切な保存及び利用を図ることを目的とする。