気が付いていますか? データ保存のリスク

2022/04/06

デジタルで作られた情報は急激な勢いで増加していることはご存じだと思います。
International Data Corporation(IDC)によると2020年の全世界のデジタルデータの総量はおよそ59ゼタバイトにのぼるということです。2010年は988エクサバイトだったので10年間で60倍くらいになったことになります。デジタルデータの総量とは全世界で生成、取得、複製、消費されるデータ量のことです。
※1ゼタバイト(ZB)=1,000エクサバイト(EB)=100万ペタバイト(PB)=10億テラバイト(TB)=1兆ギガバイト(GB)

 

このコラムをお読みの方も、仕事で作成する文書やデータは大量にあると思いますし、スマホやデジタルカメラで撮影した個人的な画像や映像のデータも多くあると思います。さらに、そのデータはどんどん増えていっていると思います。

◆作ったデータはどのように保存していますか?

それではパソコンで作った資料、スマホやデジタルカメラで撮影した画像や映像データはどのように保存していますか?

 

パソコンで作った文書や資料は、そのままパソコンに入れっぱなし、という人も多くいます。撮影した画像や動画もそのままデジタルカメラやスマホに残していることもあると思います。
ある程度、容量が大きなデータなどは外付けハードディスクに記録したり、CDやDVDに書き込んで保存していることもあるでしょう。

 

また、会社の中にストレージ専用のサーバーを設置して、そこにすべてのデータを保存・保管するようなシステムを構築しているところも非常に多くあります。

 

最近ではオンラインストレージというサービスが充実してきていて、資料のデータや画像・映像データをクラウド上で保管する方法も普通になってきています。例えばグーグルのグーグルドライブ、マイクロソフトのワンドライブ、アップルのiクラウドなどがあります。

◆データの保存ルールは?

法的に決められている文書やデータは保管期間が決められているので、保存・保管をしなければならないことはわかっていても、それらをどのように保管するのかのルールをきちんと認識しているところは意外と少ないのです。

 

※書類の種類による法的保管期限の詳細は下記の弊社サイトを参照してください。
https://xn--ruq167cnto080a.com/howto/hozonkikan/
必要な情報がきちんと保管されていないとどのようなことが起きてしまうのでしょう。

 

例えば、営業がどこに訪問して何を話したか、といった情報は口頭、もしくは営業報告書で上司に伝えられます。その営業担当者が異動や転勤になった場合は、引継ぎが行われます。しかし、急な病気で長期入院しなければならないときなど、引継ぎができない場合もあります。取引先との約束で直近のものは何とか対応できるケースが多いのですが、半年前に約束していたことは誰も知らずに放置され、取引先の信頼を失ってしまうこともあります。

 

多くの会社の場合、報告をきちんと行うという教育を行っています。一方、報告された内容をどのように管理し、保管するのかを定めていない会社もあります。いつでも必要な情報を取り出すことができ、確認できるルールと体制を決めておくことが重要なのです。

 

さらに情報を管理するルールや体制を決めても、「どのように保管するのか」が、曖昧になってしまっていることが多くあります。ここに「データ保存のリスク」があるのです。

◆保存メディアの種類

保存メディア(情報を保存する媒体)にはどんなものがあるのでしょうか。簡単に列挙します。

ディスク

【紙】

紙の状態でそのまま保存する方法です。
紙に記載された情報をそのまま保存メディアとして保管する、デジタルで作成された情報をプリントアウトして紙で保管する、などの保管方法があります。

 

【光ディスク】

現時点でCD、DVD、ブルーレイディスクが中心のメディアで、最も利用されている保存メディアです。
以前は、フォトCD、レーザーディスクなどがありましたが、現在では製造を中止しています。

 

【磁気ディスク】

ハードディスク(HDD)が中心のメディアで多くのパソコンの保存メディアとして使用されています。
以前はフロッピーディスク(FD)がありましたが、今ではほとんど利用されていません。

 

【フラッシュメモリ】

USBメモリ、デジタルカメラなどに使われているメモリーカード、SSDなどがあります。半導体メモリと呼ばれることもあります。

 

【その他】

・マイクロフィルム
写真フィルムにアナログ画像を記録。長い間、情報の長期保存に使われていましたが、現在ではデジタルに置き換えられていて、新たなマイクロフィルムでの保存は非常に少なくなっています。
・光磁気ディスク(MO)
以前は映像などの情報を保存するのに使われていましたが、現在では利用量が激減しています。

 

【クラウドストレージ】

保存メディアという分類には入りませんが、保存する方法としてネット上のオンラインストレージとしてクラウドストレージがあります。

 

◆デジタルデータの保存の時に注意するべきこと

保存するときに考えておかなければならないリスクがあります。これらを意識してデータを保存・保管をしていかなければ、重要なデータが消滅してしまうことになってしまいます。

◇デジタルデータは目にみることができない。

初歩的なことですが、紙で記載されたもの、写真に写されているようなアナログの情報は直接、目でみることができます。しかし、デジタルのデータの場合は、なんらかの再生用の機器がないと見ることができないのは当然お分かりと思います。
又、アナログの情報の場合、一部が欠損していても、目で見ることでどんな情報なのかは想像できますが、デジタルの場合、保存メディアの一部に不具合が発生すると全体が再生できなくなる場合も多くあります。

◇デジタルデータを再生する機器の生産終了

ある程度年配の方なら、昔、オフィスの中に大量のフロッピーディスク(FD)というものがあったことを覚えていると思います。現在では全く使われていません。ほとんどの方はFDのデータはその他のメディアに移行してしまったことと思います。
また多くの家庭で家族の映像はVHSで撮影して保存していたのではないでしょうか。しかし、現在、VHSテープの再生機器は製造中止になっています。昔の家族の映像を見たくても見ることができません。VHSテープをDVDに書き換えてくれるサービスを提供しているところもありますが、非常に高額です。

 

目で見ることができないデジタル情報は、それを再生する機器が無くなってしまうというリスクをいつも考えて保存しなければならないのです。

◇保存メディアには寿命がある

自分でCDに記録した画像や音楽は、再生する機器さえあれば永遠に再生できると思いますか? ほとんどの方は永遠ではないと思っているでしょう。保存メディアの種類によって寿命は異なりますが、一番大きな要因は温度、湿度、紫外線などにより物理的にメディアが変化してしまうことです。
パソコンに内蔵されているハードディスクも耐用期間も一般的には5年から10年と言われています。

◇ファイルフォーマットに注意

画像データにはJPEGやPINGなどが使われています。このファイルフォーマットにも注意が必要です。JPEGやPINGなどは一般的に大量に使われているフォーマットですが、特殊なアプリを使って作られたデータで互換性がない場合は、読めなくなる場合も多いのです。

◆長期にデジタルデータを保存するための対策

重要なデジタルデータや大切な思い出のある画像を長期に保存するための対策を紹介しましょう。この対策を行うルールが決まっていればリスクを回避することができます。

◇バックアップをする

データのバックアップとは、一つのデータを別のメディアで保管しておくことを言います。例えば、HDDの中に保管してある保存データをDVDなどにも記録しておく、などの方法です。
よく見かけるのが、同じHDD内で違うフォルダ内にコピーをしておく方法です。これは間違えてデータを消去してしまった場合のバックアップになりますが、HDDそのものが破損した場合のバックアップにはなりません。

◇マイグレーションを行う

既に長期に保存しているデータは最新のメディアに書き換えましょう。つまり、古いCDで保管している保存データがある場合は最新の長期保存用の光メディアに書き換えるのです。これによりメディアの劣化による情報の喪失を防ぐことができます。
また、再生する機器が古くなってきた場合、新しい仕組みの再生機器を購入し、それにあったメディアに書き換えることも重要です。
さらに、特殊なフォーマットや古いフォーマットで書かれているデータも書き換えが必要になるかもしれません。

◇エラーチェックをする

エラーチェックとはCDやDVDなどに記録されているデータが正しくと見とれるかどうかチェックすることをいいます。メディアの記録層の劣化によるエラーが発生していないかどうかをチェックするのです。もし、このエラーが基準を超えてしまった場合には読み取りエラーが発生してしまうので、その前にマイグレーションを行えばよいのです。

◇長期保存用のメディアを使用する

長期保存を目的としたメディアも開発されています。例えば米国のMillenniata社が開発した新しい記録メディアでM-DISKというものがあります。まだまだ認知度は低いですが、長期保存には適したメディアになるかもしれません。

参照:総務省「震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン(2013年3月) 第4章」
参照:https://mdisc.com/index.html

◆まとめ

重要な文書や画像・映像を保存するときに注意しておかなければならないことを述べてきました。 大企業などは文書管理や情報管理を担当する社員や組織がありますが、日本企業のほとんど占める中小企業ではそのような担当者や組織を作ることは難しいでしょう。
従業員の一人ひとりが自分の作った報告書や資料を長期に保管できるようにすることでリスクの回避が可能になってきます。

この記事は2022年4月6日時点の記事です。

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