いまさら聞けない!電子化と解像度

2022/05/25

文書の電子化を実施しようとすると必ず発生することが、既存の紙文書をどうするか、ということです。もちろん紙文書はスキャナーでスキャンする、もしくはデジタルカメラなどで複写して電子化をします。ここで注意することが解像度です。
解像度を気にせずにスキャンをすると、図形やデザインが粗くて読めない、ということにもなりかねません。
何気なくスキャンをしているので、解像度について詳しく調べることも少ないでしょう。今回のコラムでは解像度とは何か。そして、文書を電子化するときの適切な解像度について説明をしていきます。

◆解像度とは

解像度という言葉はよく聞く単語で、なんとなく「解像度が高いと品質も良い」と思っている方も多いと思います。解像度について簡単に説明をしましょう。

◇解像度とは

解像度はppi(pixel per inch)もしくはdpi(dot per inch)で表現されます。
ppiは1インチに画像用の素子(ピクセル)がいくつあるかということで主にテレビやモニター、デジタルカメラで使用されます。一方、dpiは1インチにいくつのインクの点(ドット)があるかということで主に印刷で使用され、プリンターやスキャンの際の画像品質の目安に使用されます。

 

1インチに含まれるピクセルもしくはドットの数が多いほど解像度が高いということになります。
例えば新聞の写真を拡大鏡で見てください。下の写真のようにぶつぶつとしたドットを見ることができます。これは印刷する際に、紙の上にインクを点でのせていくためです。この点が小さくて数多く乗せることができると、より細かな再現ができるようになります。

解像度写真

最近、電気屋さんにいくと4Kテレビが多く展示されています。更に8Kテレビも多くなってきました。この4Kや8Kと表記されている数字は何なのでしょう。これは画面の画素の数を表しています。画面横の画素数が約4,000程度のものを4Kテレビと呼んでいます。

3810画素

◇解像度と画像情報の量

この解像度を語るときに注意しなければいけないのは、解像度に見合った画像情報があるかどうかです。例えば、8Kのテレビを購入しても、8Kに見合った画像情報がテレビに供給されていないと基本的に画像の品質は上がらないのです。(実際は高画質のテレビに合うように画像情報を変換する技術を導入しているので画質は向上します。)

画像情報の量
 
画像情報の量2

上の図を見てもらうとわかるように、5個の情報しかないものを10個再現できる機材を使っても5個しか再現できません。情報がないのに高品質のものを使っても再現できないのです。

◇dpiとppiの使われ方の違い

冒頭でドットとピクセルは使われている機材が異なっていると説明しましたが、具体的にはどのように違うのでしょう。
下の画像はテレビの画面を拡大したものです。赤、緑、青の縦長に光っている部分があります。この赤、緑、青の三つがすべて光ると白になります。これは光の三原色と言われるもので、それぞれのドットは光る量を256段階に調整ができるので、256x256x256で約1680万色のフルカラーを再現できるのです。
この中で一つ一つ光っているものをドットといいます。そして、赤・緑・青を組み合わせて色を再現できる最小単位になり、これがピクセルとなります。

dpi画像

印刷の場合は1ドットが一つの点になります。下の図はカラーの印刷物を拡大したものです。

dpi画像2

印刷はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)を組み合わせて画像と色を再現します。一つ一つの点が4色あることを確認できます。このC、M、Yは色の三原色と言われるものです。

◇解像度による再現の違い

具体的に解像度の差は見た目でどのような差になるのでしょうか。

再現画像

上の画像を見ると左の画像に比べて右の画像は瞳や髪の毛のエッジ部分がギザギザになり、再現性が低くなっていることがわかります。右の画像のギザギザが出ないように再現しようとすると、画像の大きさを小さくせざるを得ません。それが右下の小さな画像になります。

◆電子化と解像度

解像度とはなにか、そして解像度が低いとどのような画像になってしまうかを説明してきました。
文書を電子化する場合にも解像度に注意しないと、あとで電子化した文書を読むことができない、ということになる可能性があります。さらに電子化により紙の原本を廃棄してしまっていた場合には手の打ちようがありません。

◇文書の解像度別のスキャン例

最初に下の二つの画像を見てください。

スキャン画像

左の画像は600dpiでスキャンしたもの、右は200dpiでスキャンした結果です。オリジナルの文字サイズはワードの明朝4Pのサイズです。200dpiの画像の場合、小さな文字はかなりぼやけています。三井倉庫の「庫」の文字や数字の「5」は文字単体となると判別は困難ですね。

 

実はこの文字は下の印刷物(A4サイズ)を200dpiと600dpiでスキャンしたもので、この中の最も小さな文字(4ポイント)の部分をそれぞれ拡大したものです。

拡大画像

◇解像度とファイルサイズ

解像度は高い方が良いことはおわかり頂けたと思いますが、高ければ良いとは限りません。何故なら、解像度が高いほど、画像のサイズが大幅に増加してしまうからです。ちなみに上のA4サイズの書類を1枚スキャンしたときの画像サイズは次のようになりました。

表画像

jpgの場合200dpiで1メガなのに対して、600dpiでは5メガになってしまいます。電子化して保存する場合、保存媒体のサイズの限度がありますので、解像度を高くして保存媒体の必要な容量が大幅に増えてしまうことも問題になります。

 

一方、ファイルフォーマットによるファイルサイズだけを見るとpdfで保存すれば良いことになりますが、pdfの場合はもっと画像が悪くなってしまいます。200dpiでスキャンした画像をpdfで保存したものが下の画像です(拡大部分は上の文字の比較と同じ部分)。

ぼかし画像

もう何が書かれているかほとんど判別できません。

◇文書の電子化に適した解像度とファイルフォーマットは?

では、実際に電子化をするときの画像解像度はどうしたら良いのでしょう。おおよその目安を紹介します。

 

🕛 10ポイント程度以上の大きさの文字しか無いような文書
200~300dpiでスキャンをしてjpg保存が適切です。pdfの保存でも大丈夫です。

 

🕛 少し小さな文字が存在する文書
300dpiでjpg保存が適切です。

 

🕛 細かな図形や設計図などの図面や重要な画像が含まれている文書
400dpi以上のjpg保存をお勧めします。

 

🕛 保存した画像や図面を再利用することが想定される場合
400dpi以上でtiff保存をお勧めします。

◆まとめ

解像度について説明してきました。画像の品質の観点では画像解像度が高い方が良いのですが、画像の品質を高くするとファイルのサイズが大きくなってしまいます。文書を電子化する場合には適切な解像度にするようにしましょう。

 

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この記事は2022年5月25日時点の記事です。

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