オフィス内の書類削減とその後の「紙の増加」を防ぐための戦略
2025/03/19

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〈削減後に再び増える書類問題とは?〉
オフィスでのペーパーレス化や書類整理に取り組む企業が増えていますが、
せっかく削減したはずの書類が気づくと再び増えてしまう——こんな経験はありませんか?
書類が再増加することで、物理的な保管スペースが再び圧迫され、印刷や管理にかかるコストが膨らむだけでなく、必要な書類を探すために無駄な時間がかかり、業務の効率が大きく低下します。
この「書類が増える」という問題は、多くの企業が直面する重要な課題です。
今回は、「削減したはずの書類が再度増える問題」を防ぐために必要な施策と、
持続可能なペーパーレス化を進めるための具体的な方法を解説します。
〈なぜペーパーレス化が進んでも書類が再増加するのか?〉
ペーパーレスや書類削減を進める企業が増えている中で、削減したはずの紙文書が再度増加してしまうケースは少なくありません。これを防ぐためには、削減した後に書類が再び増える原因をしっかりと把握し、適切な仕組みを導入することが大切です。
たとえば、オフィス内での書類が増える原因としてよく挙げられるのは以下の通りです。
1.無意識のうちに紙を保持する文化
書類を必要以上に保持してしまう文化や、必要な書類かどうかを判断せずにとりあえず保管してしまう傾向があると、削減したはずの書類が再び増える原因となります。
たとえば、会議後に資料を一時的に保管しておくことが習慣になっている場合、次回の会議で使用するかもしれないという理由で、不要な書類がそのまま保管されてしまいます。また、報告書やメモ書きなども、後で確認する必要があるかもしれないという理由で保持されがちです。このような文化が続く限り、ペーパーレス化が進んでも書類は再増加する可能性があります。
2.業務フローの中で「ペーパーレス」化が進まない
紙のやりとりが依然として行われている業務では、紙文書の削減は一時的なものでしかありません。
たとえば、取引先からの紙で送られてくる請求書や領収書、会議の議事録の手書きメモなど、まだまだアナログな処理が多い業務フローがペーパーレス化の障害となっている場合があります。これらの業務の電子化が進むことで、書類削減がより効果的になります。
3.整理と廃棄の基準が曖昧なまま
書類整理を進める際、最も重要なのは整理基準と廃棄基準の明確化です。この基準が曖昧なままだと、どうしても必要以上に書類を保管してしまい、再び「紙の山」を作り出してしまいます。特に、「捨てるべき書類」と「保管すべき書類」の区別がつかないと、無駄にスペースを占拠することになります。結果として、ペーパーレス化を進めても、整理しきれなかった書類が再び増加してしまうのです。
〈持続可能な書類削減のための「紙文書を再増加させない仕組み」〉
書類の再増加を防ぐためには、ペーパーレス化を単なる一時的な取り組みではなく、組織全体で持続的に進めていくための仕組み作りが重要です。以下の6つの方法で、効果的に書類の再増加を防ぎ、ペーパーレス環境を維持しましょう。
1.担当者を決めて継続的な活動を支える
書類整理や削減活動を定期的に進めるためには、リーダーや部門ごとの担当者を決めておくことが大切です。担当者は定期的に進捗を確認し、活動を継続的に促進する役割を担います。部門ごとに担当者を立てることで、組織全体で取り組みやすくなり、活動が継続しやすくなります。
2.マニュアル作成と説明会の実施
書類整理や削減に関する基準を従業員全員が理解できるよう、キャビネット運用ルールなどのマニュアルを作成し、説明会を開催しましょう。具体例を交えて説明することで、理解が深まり、積極的に取り組むことができます。
3.定期的な書類整理日の実施
社内で定期的に「書類整理日」を設け、各社員が自分のデスクや共有スペースを見直す機会を作りましょう。これを年間スケジュールに組み込み、最低でも半期もしくは年に一度は実施することを推奨します。
定期的に見直すことで、不要な書類の再増加を防ぐことができます。
4.書類の分類基準を明確化
整理の際に「この書類は捨てていいのか?」と迷うことがありますが、この判断をスムーズにするために、書類の整理において、何を「捨てる」のか、何を「保管する」のか、また「倉庫に保存する」のかを事前に明確に決めておくことが重要です。
例えば、年に1回以上使用する書類はオフィス内に保管し、2年以上使用していない書類は倉庫に保存するなど、期限に基づいて整理基準を設けると効率的です。
また、統計によると、ほとんどの文書は作成から1年以内に使用され、その後はほとんど必要とされないというデータがあります。これを踏まえると、オフィス内の書類は作成後2年以上経過したものは「倉庫に保存」とするのが理想的です。
5.書類保管スペースの制限
オフィス内に書類を置いておける場所を限定し、その中でやりくりをするようにしましょう。
キャビネットなど書類を置くことができるスペースがあると、ついつい書類を置いてしまう傾向があります。スペースを決めることで、自然と書類整理が進み、必要以上に書類を保管することがなくなります。
6.業務の電子化・システム化
アナログからデジタルへ移行することで、紙文書の削減と業務の効率化を一体的に進めることができます。業務フロー全体を見直し、各工程でペーパーレス化を推進することが重要です。具体的には、以下の方法が効果的です。
・稟議決裁の電子化
従来、紙で行っていた稟議決裁を専用の電子システムに切り替えることで、承認フローのスピードを向上させ、ペーパーレス化を実現します。これにより、決裁書類の印刷や手配が不要になります。
・FAXの廃止とメールへの移行
取引先からの請求書や注文書をFAXで受け取っていた場合、それをメールに切り替えることが有効です。デジタル化された書類はデータで管理でき、紙の処理や保管が不要になります。
・電子契約の導入
契約書類の署名をオンラインで行える電子契約システムを導入すれば、紙の契約書を印刷・郵送する手間が省け、契約のスピードも向上します。これにより、オフィスでの書類作成や保管の負担が軽減されます。
・電子データの管理方法を見直す
業務が電子化される中で、データ管理方法の見直しは不可欠です。電子データを効率よく管理するために、ファイルサーバーやクラウドストレージにおけるデータの整理整頓を行い、アクセスしやすい環境を作りましょう。ファイルサーバーに保存する際、検索しやすく、必要なときに取り出しやすい状態を保つためのルールを設けましょう。これにより、必要なデータを迅速に取り出すことができ、紙文書に依存する必要がなくなります。
・会議でのペーパーレス化
会議での資料は、必ずしも全て印刷する必要はありません。プロジェクターや共有画面を活用し、資料をデジタルで共有することで、紙の使用を減らすことができます。会議前に資料を電子化しておくことで、会議後に無駄な印刷を減らすことができます。とはいえ、ポストイットやホワイトボード、手書きのメモなど、紙を使った方が効率的な場面も存在します。業務や会議の内容に応じて、どこで紙を使うべきか、どこでデジタル化を進めるべきかを適切に判断し、使い分けることが重要です。
〈削減は「捨てる」ことだけではない〉
紙文書の再増加を防ぐためには、継続的に書類整理を進め、組織全体で管理体制を見直す仕組みが欠かせません。定期的な削減活動を通じて、社員一丸となって取り組むことで、快適で効率的なオフィス環境が生まれ、同時に働き方改革も実現できるでしょう。
まずは、部門ごとの担当者を決め、具体的な基準を設けるところから始め、全員で積極的にペーパーレス化を進めましょう。