文書の電子化! 知っておきたい光と色の基礎知識
2022/06/21
「いまさら聞けない!電子化と解像度」という記事(https://xn--ruq167cnto080a.com/media_key/4311/)の中で色について簡単に紹介をしました。デジタル化や印刷をするときに、カラー(色)は避けて通れません。
今回の記事では色とは何かについて、もう少し掘り下げて説明をしていきます。わかっているつもりの光と色について理解ができれば、より良い文書のデジタル化や画像化ができるようになると思います。
Contents
◇光の三原色(R、G、B)の基礎
RGBはRがRed(赤)、GがGreen(緑)、BがBlue(青)の光で色を再現させる方法です。
一般的に「光の三原色」とよばれ、この三つの光によってすべての色を再現します。光を加えていくので「加色法」もしくは「加法混色」と呼ばれています。
それぞれの光によってどのような色が再現されるのかを示したのが、上の図になります。
白色の光を赤いフィルターを通すと赤い光だけが透過し、スクリーンに投影されます。
赤の光と緑の光が混じると黄色(Yellow)になります。同じように赤と青の光でマゼンタ色、緑と青の光でシアン色(空色)になります。
また、RGBのそれぞれの光の量を変えることで色が変わってきます。
◇デジタルのRGB再現
テレビは下の図のようにRGBのそれぞれの発光素子があって、それぞれが光ることによって映像と色を再現しています。一つ一つの発光素子はオン・オフで発光するかしないか、という機能になります。
R・G・Bの発光素子の内、R(赤)とG(緑)の素子が発光すると黄色に見えます。(この図①では赤と緑の素子が光っていて黄色には見えません。)
G(緑)の素子だけが発光した場合(図②)は緑です。
つまり発光する素子によってさまざまな色を再現できるのです。
◇RGBはどのように使われているの?
光を使う装置は基本的に赤(R)、G(緑)、B(青)が使われています。上の図のようにテレビやモニターは光を出すことで映像が見られます。
この他にもRGBを使っているものは多くあります。その代表的なものがデジタルカメラでしょう。スマホには必ずデジタルカメラの機能が搭載されています。これらはRGBの原理を使用して画像データや映像データが取り込まれています。
デジタルカメラにはCCDと呼ばれる素子があり、これが光を記録するのですが、色を識別することはできません。白黒で光の強弱を記録します。それぞれの素子にRGBのフィルターをかけて、赤の光、緑の光、青の光の情報をCCDに記録させるのです。
下の図はデジタルカメラが色の情報を読み取る原理です。
白色の光は赤、緑、青のすべての光を含んでいて、赤のフィルターは赤の光だけを通してCCD:Aに光があるという情報を記録します。緑、青も同じです。
黄色の光は赤と緑の光が含まれています。赤の光はCCD:Aに緑の光はCCD:Bに情報を記録します。CCD:Cは光がないのでX(情報なし)ということになります。
つまり、CCD:AからCCD:Cまでの組み合わせで色の情報が記録されるのです。
このように光の三原色を利用した機器は他にも多くあります。文書の電子化では必須のスキャナーもCCDで画像データを検出していて、RGBを基本にした情報を取り込んでいます。
プレゼンなどで利用しているプロジェクターもRGBを基本にした機器となります。
◇色の三原色(CMY)の基礎
Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアンの3色で再現される色を「色の三原色」とよび、この三つの色によってすべての色を再現します。こちらは色を減らすことで再現するので「減色法」もしくは「減法混色」と呼ばれていて、印刷の分野では基本的なものとなります。
印刷では印刷物そのものが光を発生することはありません。白というすべての色を含んだ光から不必要な色を省くことによって色を再現します。つまり、白い光から必要な光だけを反射させて色を再現しているのです。
下の図はその原理を説明するものです。
白はすべての光を反射するので白に再現されます。イエローは青の光を吸収して反射しないので、赤と緑の光だけを反射します。人間の目には緑と赤でイエローに見えるのです。同じように緑を吸収し、赤と青の光を反射してマゼンタ色に、緑と青の光を反射してシアン色に見えます。
では、一色だけを反射させたいときはどうなるのでしょう。例えば、イエローは青色の光を吸収し、シアンは赤の光を吸収します。するとシアンとイエローが重なった部分は残った緑の光だけを反射することになります。
(下の図を参照)
このように反射する光をどのように減らすかで色を調整することから減色法(減法混色)と呼ばれているのです。
◇CMYによる色の再現はどのように使われているの?
家庭用のインクジェットプリンターのインクを購入すると、インクのカートリッジにはシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクカートリッジがあり、加えてKで表現されている黒色のインクカートリッジがあり、合計で4つのインクのカートリッジがあります。インクジェットプリンターではそれぞれのインクの量によってさまざまな色を表現できるのです。
K(黒)があるのは色の三原色でCMYを混ぜると黒になるのですが、白い紙の上にインクを乗せても完全に光の反射をなくすことができず、完全な黒が再現できないからなのです。
インクジェットプリンターによる印刷だけでなく、印刷会社での印刷物もCMYKの4色によって印刷されています。印刷会社に画像を含んだ原稿の印刷を依頼する時にはCMYKのデータで入稿を依頼されることも多くあります。特に最近はネットで印刷物の発注することも多くなっています。特に色については注意が必要です。
◇画像の情報、色に関する注意点
文字情報は文字として読み取れれば内容を把握することは可能です。しかし、色の場合は色再現が正確でないと情報としては価値が下がります。色に関して注意すべき点をいくつか紹介しましょう。
●印刷の時に注意する点
印刷を依頼するときに、原稿に画像や色が含まれているときには注意が必要です。すでに解説したように、印刷はCMYKを基本としています。自分のPCで作成した資料を社内の複合機で印刷する場合、複合機が自動的にRGBをCMYKに変換しています。すぐに色を含めて印刷されたものを確認できるので大きなミスは発生しにくいと思います。
より良い品質の印刷物を大量に作りたいときは外部の印刷会社に依頼することも多いでしょう。外部に印刷を依頼する時に、CMYKのデータで原稿を納品するように依頼されることがあります。RGBで作成した原稿をCMYKで印刷すると色がくすんでしまう場合があり、正確な色再現をするためにCMYKでの入稿を依頼されるのです。
CMYKへの変換方法はフォトショップやイラストレーターというソフトを使って行えますが、他にもいろいろと紹介されているので調べてみてください。
●色見本の利用
服飾関連の画像は色が重要なポイントとなります。ところがモニターは個体ごとに色再現が異なる場合があります。モニター上だけで色を判断すると間違った情報になってしまいます。このような時は色見本やカラーガイドによるデータを同時に保存しておくことをお勧めします。また、印刷会社に印刷を依頼する時にも有効です。
色見本やカラーガイドとは実際の色をコードで表現しているもので、パントーンの色見本やDICのカラーガイドが一般的です。
パントーンの色見本のひとつ(https://www.pantone.com/product-line/graphicsより)
◇まとめ
光の三原色、色の三原色について説明してきました。知識をもっているだけで、デジタルカメラの取り扱い、画像処理、スキャン、印刷の際に役立ってきます。
より正確なデジタルの情報を保存するという観点からもぜひ色についても意識してみてはいかがでしょうか。