書類整理のABC

2022/11/15

ウィズコロナを契機に、サテライトでも業務継続できる仕組みづくりが盛んに取り組まれているところですが、その過程において一つの課題となっている「書類の電子化や整理」について取り上げたいと思います。

 

書類の電子化や整理をしなければ、という熱い思いだけ沸き出すなか、何をどうしたら良いか途方に暮れてしまうのは可笑しなことではないと思います。
その一つのきっかけになればと思いますが、オフィスで書類の電子化や整理に取り組まれるにあたって、是非知っておいていただきたい考え方がありますので、ここでご紹介します。

 

当社のような倉庫会社では当たり前に意識している「ABC分析」という手法があります。
ABC分析のベースには、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが唱えた「パレートの法則」というものがあり、売上の8割は全体の2割の商品で生み出しているという考え方です。この法則を耳にしたことがある人も、例えば自社の売上に占める主要取引先の割合(売上の8割が、全取引先の2割にあたる主要取引先で占めている)から経験的に実感されている人もいらっしゃることと思います。
ABC分析とはこの法則をベースに、一般的には商品ごとの「売上高」に占める割合から、多い順にA・B・Cの3グループに区別し、重要度や優先度に優劣をつけて最適な在庫管理を目指す管理手法になりますが、倉庫会社のABC分析は売上でなく「出荷頻度」でこのABC分析を活用しています。

 
パレートの法則
 

倉庫会社のABC分析は、端的に述べると、倉庫内の商品在庫の保管位置を考える際に「出荷頻度の高い商品は近くに、出荷頻度の低い商品は遠くに置く」という考え方で保管場所を区別し、結果として作業に掛かる合計の動きを最小化する取組みになります。

 

オフィスの書類の電子化や整理をする際にも、この倉庫会社のABC分析を当てはめることができます。「利用頻度が高い書類は近くに、利用頻度が低い書類は遠くに置く」という考え方をもってお取り組みいただくことをおすすめします。参考となる主な指標内容を、下表にまとめておきますので、ぜひご活用ください。

 

ロケーション 利用頻度 その他指標
執務室保管 ・アクティブな書類
・メンテナンスが必要なもの
電子化 ・閲覧時、原本である必要性がないもの
社内書庫保管 低~中 ・機密性が高く、外部保管できないもの
外部倉庫保管 ・長期保存が必要な書類(法定保存、訴訟対策等)
・BCPの観点から、外部保管が望ましいもの
廃棄 ・バックアップや代替閲覧手段があるもの

書類の利用頻度は、書類の種類によって違いはありますが、大枠として「作成日からの経過年数」で考えることができそうです。経験則で漠然と同じように体感されている人もいると思いますが、「ナレムコの法則」という米国記録学会(NAREMCO:National Records Management Council、通称:ナレムコ)のビジネス文書の経過年数と利用頻度を調査した統計がきちんと存在します。

事務員は書類の作成(取得)から半年後は10%の書類しか見返さない。
1年後になると、見返すのはたった1%の書類だけ。
つまり、『書類が発生してから1年経過した書類の99%は利用されていない』ということです。
書類の作成からの「経過年数1年を分岐点」にして、書類のロケーションを検討してみてはいかがでしょうか? 1年経過した書類の外部倉庫保管を検討するのは統計からも理にかなったことだと考えられます。

 
ナムレコの法則
 

なお、表中でオフィス内保管を推奨している書類であっても、オフィスのスペース状況によってはオフィス内に置ききれないことも当然あるかと思います。
三井倉庫ビジネスパートナーズでは書類の保管、電子化をはじめ、様々なご事情に応じてサービスのご提供ご提案をさせていただきます。書類にまつわるお悩みがございましたらぜひ当社までご相談ください。

 

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この記事は2022年11月15日時点の記事です。

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