文書管理規程とは?作成方法と運用方法を解説

2023/01/24

「文書管理規程」は、社内文書の管理方法の原則について記載したものであり、従業員全員の社内文書管理方法の統一化を目的としています。

まだ文書管理規程を定めていない場合、作成する必要があるのか悩まれている企業もいらっしゃるでしょう。

社内文書を管理するためのルールが統一化されていない場合、法律で定められた期間が過ぎる前に破棄する、無断で持ち帰るなど、誤った扱いをする恐れがあります。

 

この記事では、「文書管理規程」の概要・作成方法・運用方法・作成に際しての注意点について解説します。

「文書管理規程」の作成を検討されているご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

 

文書管理規程とは?

「文書管理規程」とは、社内で取り扱っている文書を管理するための原則が記載されたものです。

社内文書を管理するうえで意識すべきルールや禁止事項、保管期間などが主に定められています。

規程を作成し企業内の従業員へ周知することで、社内文書の管理方法が統一され、個人情報の漏洩および文書の紛失リスクが大幅に減らせるでしょう。

 

文書管理規程を作成する必要がある理由

文書管理規程を作成すべき理由には以下が挙げられます。

 

・社内文書の管理方法を統一化するため

・企業の機密情報および個人情報の漏洩を防ぐため

・業務効率化の向上につながるため

 

たとえば社内文書のなかには、顧客の個人情報が記載された文書もあるでしょう。

その場合、個人情報を扱うすべての事業者が対象となる「個人情報保護法」に反しないために、社内のすべての従業員が、統一されたルールを認知し徹底的に守る必要があります。

個人情報を扱っている以上、大手企業のみならず中小企業やそのほかの事業者すべてが文書管理規程を作成する必要があることになります。

 

文書管理規程の対象となる文書

文書管理規程へ盛り込む内容は企業により異なりますが、一般的には社内で取り扱っている文書すべてと考えてよいでしょう。

他社とのやり取りの際に授受した文書はもちろんのこと、企業内における就業ルールや緊急連絡先が記載された文書など、自社のみにかかわる内容の文書も対象です。

特に人事書類には連絡先など従業員の個人情報が記載されていることが多いため、規程の作成をおすすめします。

 

文書管理規程の作成方法

実際に文書管理規程を作成する際は、あらかじめ担当者や責任者を決めておきましょう。

担当者や責任者を決めない場合、文書管理規定の内容を確認する人があいまいな状態となり、完成までスムーズに進めることができません。

 

現在の文書管理に関するルールを洗い出す

文書管理規程を周知する予定である従業員の、現在における文書管理ルールを洗い出します。

部署によりすでに定まっているルールがあれば、定着している可能性が高いため、文書管理規程に反映させやすいでしょう。

定まっているルールとは、具体的には以下のようなものがあります。

 

・管理文書の件名およびファイル名の付け方

・発生した管理文書の保存に至るまでの承認ルート

・管理文書の押印に関するルール

・管理文書の保管期間や保管方法

・文書の処分方法

 

ただし、法律に則ったルールでない場合は、該当の部署へ事情を説明し、文書管理規程の作成および規程を遵守した管理方法へシフトする旨を伝えます。

 

記載する項目を洗い出す

文書管理規程に記載する項目を洗い出します。

一般的には以下のような項目があり、企業によっては項目を追記する必要があるでしょう。

 

・目的:社内文書規程が定められた目的について記載します。

 

・適用文書の範囲:社内文書規程の内容が適用される文書の範囲について記載します。

 

・私有禁止:社内文書を無断で持ち出したり使用したり、私物化を禁止する旨を記載します。

 

・文書取扱いの主管部および文書管理担当者:社内文書の管理における責任者または担当者(部署)を記載します。

 

・文書の保存期間:対象の社内文書を保存する期間を記載します。主に永久保存・10年・5年・1年があります。

 

・保存の方法:社内文書の保存形式および文書名・保存期間・保存の開始日と終了日などの管理における必要事項を記載します。

 

・実施期日:文書管理規程を施行する日付を記載します。

文書管理規程の運用方法

作成した社内文書の管理規程は、社内の従業員に把握してもらわなければ意味がありません。

企業のなかには、作成したものの形骸化して誰も存在を知らない状態になっている場合もあるでしょう。

従業員が規程の存在を認識し、社内文書の管理ルールの統一化を成功させるための、運用方法について解説します。

 

文書管理マニュアルも併せて作成する

文書管理規程には、あくまで社内文書の管理における原則が記載されています。

そのため具体的に文書の保管先や保管手順など、文書管理を行うための具体的な内容が記載されていません。

また文書管理マニュアルは、現場の業務に沿った手順を記載する必要があるため、部署ごとに内容が異なるでしょう。

しかし文書管理規程は全従業員において一律です。

 

会社の従業員が、見ながら文書管理が行えるよう、マニュアルの作成も同時に行う必要があります。

また昨今では、取引のある企業と電子データでのやり取り、社内文書の電子データ化が進んでいるため、同じ社内文書でも紙と電子データの両方がある場合は、それぞれのマニュアルを作成する必要があります。

 

作成する際には、社内文書の多くに該当する以下のサイクルを意識しましょう。

社内文書の発生 → 担当従業員への伝達 → 保管・保存 → 廃棄

 

社内文書ごとに各項目を詳細化し、手順化すればマニュアルが出来上がります。

またマニュアルも、文書管理規程と同様に随時、見直しおよび更新を施す必要があるため、社内文書の管理マニュアルを保管および更新する担当者や責任者をあらかじめ定めておきましょう。

 

企業内へ徹底的に通知する

文書管理規程は、作成して完了ではありません。

作成した内容を企業の従業員全員へ周知し、理解してもらう必要があります。

適切に文書管理ルールの統一化が行われるように、規程が記載された用紙を配布するだけにとどめるのではなく、説明会や教育を併せて行うことが大切です。

 

説明する際は、遵守が必要な法律や自社のセキュリティポリシーなども同時に伝えるとよいでしょう。

 

文書管理規程の作成における注意点

社内の文書管理規程は、業務や個人情報に関わる文書の、管理ルールの大前提として作成する書類です。

そのため、慎重に記載内容を精査し、頻繁に確認・更新を行う必要があります。

 

文書管理規程は見直し・更新を繰り返す

「電子帳簿保存法」や「e-文書法」、「新会社法」など社内文書の管理に関係する法律は、度々改正されます。

改正が行われたにも関わらず古い情報のまま長期間記載されている場合、法律に則った管理ができない恐れがあります。

 

そのため改正が行われるたびに、文書管理規程を都度更新する必要があるでしょう。

 

「漏れ」がないように記載する

社内の文書管理規程は、対象の書類管理におけるルールがすべて網羅されている必要があります。

規程に記載されていない内容がある場合、マニュアルが作成されないため文書の管理方法に抜けがあることになります。

例えば、とある文書の管理方法において、紙の文書の保管については記載されているが、電子データにおける管理方法は記載されていないなど、抜けがあればマニュアルも作成できないうえ、規程を定めていない状態と同じことになってしまいます。

 

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社内文書の管理を企業のみで行うことは非常に大きな負担と手間がかかります。

また文書管理の規程やマニュアルを完備しても、ヒューマンエラーによる管理ミスで文書の紛失や情報漏洩のリスクもあるでしょう。

 

そこで、三井倉庫のスマート書庫「すましょ」の利用をおすすめします。

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まとめ

社内文書管理規程を作成すべき理由や作成方法、完成後の運用方法や注意点について解説しました。

個人情報をわずかでも取り扱う企業では、「個人情報保護法」に則った適切な管理方法が求められます。

また電子データ化して保存している場合は、「電子帳簿保存法」に則った管理方法の記載が必要でしょう。

 

また作成した社内文書管理規程は、目的の一つでもある、企業内での管理ルールの統一化を達成するため、必ず周知を行いましょう。

 

さらに、法律は頻繁に改正されます。

最新の法律に則っているか、常に確認および更新することが求められます。

社内の文書管理規程は、文書全体の管理方法における前提を記載すること、責任者または担当者をあらかじめ定めておくことがとても重要です。

 

たとえ規模が小さな企業でも、情報漏洩や文書の紛失等のリスクを減らすため、必ず作成しましょう。

 

 

この記事は2023年1月24日時点の記事です。

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