負担を軽減!領収書の効率的な管理方法をご紹介

2022/11/29

事業を展開したり業務を進めたりする過程で、お金のやり取りは必ず発生します。
その際に受け取る領収書は、受け取ってから一定期間保管をするよう義務付けられています。
領収書は、取引先や買い物の内容によりすべて用紙の大きさが異なり、1年も経てば膨大な量になるため、領収書の保管方法に悩む方も多いでしょう。

そこでこの記事では、領収書の保管期間や効率のいい保管方法、領収書を電子データ化して保存するメリットについて解説します。
紛失するリスクをできるだけ減らし、かつ必要なときにいつでも内容が確認できる、領収書の保管方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

領収書はどれくらいの期間管理する必要があるのか?

業務に関係のある領収書は、一定期間保管するよう義務付けられています。
厳密には確定申告において「白色申告」を指定している法人と、「青色申告」を指定している個人事業主などにより必要な保管期間が異なります。

領収書は「国税関係帳簿書類」の一つであり、例えば「青色申告」の場合、それぞれ以下の保管期間が定められています。

【引用】「国税庁」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm

表によれば、領収書は少なくとも7年の保管が必要であることがわかります。
ただし前々年分所得が300万円以下の場合は、保管期間が5年と定められています。

領収書・レシートを効率よく管理する方法

領収書やレシートは5年または7年という長期間の保管が必要です。
そのため1枚ずつ紛失しないよう確実に、かつあまりスペースを必要としない保管方法が求められます。

ノートに貼り付ける

A4サイズまたはA3サイズのノートに、領収書を糊付けして保管します。
日付を表紙に記載し、1か月または1年につき1冊のノートを用意すれば、ページを開くだけで該当の領収書が見つけられ、内容が閲覧できます。
また日付順に貼り付けることで、お金の動きが順を追って確認できます。
ただし糊付けが甘いと、はがれて紛失する可能性があるため、しっかり貼り付けましょう。

封筒に入れてまとめる

月別や経費の種類別に、茶封筒などの封筒へ入れて保管する方法です。
ノートに貼り付ける方法と比べて、糊付けする手間がありません。
しかしうっかり落として散らばってしまうと紛失する恐れがあるため、ホッチキス止めをするか、大きな封筒へ入れて保管するなどの工夫が必要です。

ファイリングする

ポケット付きのファイルへ入れて保管する方法です。
領収書やレシート専用のファイルが販売されており、通常のファイルよりもポケットの大きさが小さくポケット数が多いため、おすすめです。
ファイルの表紙に日付を記載すれば、あとから探したり内容を確認したりしやすくなります。

どのような領収書を管理しなければならないのか?

保管が必要な領収書は国税庁により定められており、すべての領収書を保管する必要はありません。
特に個人事業主の方は、プライベートの買い物で発生した領収書や経費として計上したい領収書などが入り混じって混乱しやすいでしょう。
企業や法人または個人事業主の方が、保管すべき領収書の内容をご紹介します。

企業の場合

経費として支払ったやり取りに関しては、すべてにおいて領収書の保管が必要です。
取引先や店舗が領収書を発行してくれない場合は「支払確認書」を作成して、経費による支出があったことを証明する必要があります。

また領収書には、経費でどのようなやり取りがあったのか?一目でわかるような記載が必要です。
例えばレシートなどは、経費を使用して購入した物品の項目がわかることがほとんどです。
このように経費を使用したやり取りの内容がわかればいいですが、宛先や値段のみ書かれた領収書など、内容がわかりにくいものに関しては、以下の項目をメモ書きしておくことをおすすめします。

・経費を使った内容と目的
・会食をした場合は会食相手の名前など
・会食をした場合は参加人数

個人事業主の場合

個人事業主の方は、事業のためにかかった領収書と生活やプライベートでかかった領収書としっかり分ける必要があります。
「これは経費になるのか?」がしばしば疑問視されますが、基準は「その買い物ややり取りがなかったら、仕事にならなかった」領収書が経費になると考えるのがコツです。
事業に全く関係のない趣味や娯楽にかかった領収書は経費として計上できないため、保管する必要はありません。
プライベートにおいて外食したときの領収書を保管しておき「会議費」として計上するのはやめましょう。

なお、事業に関係がなくとも医療や医薬品でかかった領収書は一定の要件のもと個人として医療費控除が受けられる場合があるため、保管しておくことをおすすめします。

領収書を電子データ化して管理するメリット

領収書を紙のまま保管すると、紛失したり文字が消えて読めなくなったりするリスクがあります。
そのため電子データ化して確実に管理することをおすすめします。
電子データ化による保存は、内容の確実性を維持できるだけでなく、多くのメリットがあります。

紛失するリスクが減らせる

紙の領収書は、1枚1枚がとても小さいため非常に紛失しやすい書類です。
領収書専用のファイルなどが販売されていますが、うっかりポケットから落ちたりすれば紛失する可能性があります。
しかし電子データなら、パソコンのメモリーやクラウドが異常をきたさない限り無くなることはありません。

また紙のまま保管していた領収書は、該当のものを探すときに手間が発生します。
しかしファイル名をつけて電子データ化しておけば、検索するだけで瞬時に該当の領収書が見つかります。
また社内で共有するスペースに電子データ化した領収書を保存しておけば、社員が自ら検索して確認できるため、経理担当者の負担も大幅に軽減できるでしょう。

また領収書の電子データをメールに添付してやり取りすることも可能です。

経費削減につながる

領収書を紙のまま保管すると、以下のような費用が発生します。

・ファイル代
・キャビネット代
・紙とインク代
(・倉庫代)

しかし電子データ化することで、これらの費用が一切かからなくなります。
1つ1つはそれほど高価ではありませんが、年間を通して計算してみると、大幅な費用が削減できることがわかるでしょう。

保管場所が不要になる

電子データ化した領収書の内容は、すべてパソコンやクラウド内に保存されます。
そのため紙の領収書を保管する必要がなくなり、これまで使用していたスペースが有効活用できます。
紙の領収書の保管期間は5年または7年以上です。
そのため企業によっては、領収書を保管するためだけの部屋やキャビネットを用意したこともあったでしょう。
しかし電子データ化すれば、パソコンやクラウド内の一か所へ膨大な量をまとめて保存できるため、改めてスペースや保管場所を用意する必要がありません。

印字された文字の消失がなくなる

領収書やレシートは、保管方法によっては字が消えて読めなくなってしまう場合があります。
保管期間は5年または7年以上なので、数年保管しているうちにだんだん読めなくなるリスクは非常に高いでしょう。
しかし電子データ化すれば、半永久的に保管できます。
保管したままの状態が、半永久的に維持できるため、字が薄くなったり消えたりすることはありません。

領収書を電子化する際の注意点

メリットの多い領収書の電子データ化ですが、考慮すべき注意点があります。
しっかり把握して、ルールや義務に沿った保管を心がけましょう。

領収書の書類保管について詳しくはこちら

電子化しても領収書はすぐに廃棄できない

電子データ化した領収書はすぐに破棄してスッキリしたいところですが、定期検査を受けるまでは破棄できません。
定期検査とは、企業とは関係のない第三者から、領収書の内容や経費の内訳について検査を受けて不正を防止するための仕組みです。
定期検査は1年に1回以上行うことが義務付けられており、問題がないとわかれば、電子データ化した領収書は破棄できます。

反対に、国税関係帳簿書類を電子データ化して保存するためのルールを定めた「電子帳簿保存法」によれば、定期検査後の紙の領収書は原則破棄しなければなりません。
また、もともとPDFファイルなどの電子データで受け取った領収書を、紙に印刷して保存しても原本とは認められません。

参考文献:
「Jinjer Blog」https://hcm-jinjer.com/blog/keihiseisan/electronic_periodic_inspection/
「SAP Concur」https://www.concur.co.jp/blog/article/02-08-2017

タイムスタンプの付与、もしくは修正・削除の記録が残るサービスを利用していない領収書は保管しなければならない

以前は、領収書を電子データ化する際にタイムスタンプを付与していなければ、紙の領収書も保管しなければなりませんでした。
というのも「電子帳簿保存法」によれば、領収書を電子データ化して保存するにはタイムスタンプを付与することが必須条件とされていたためです。しかし、2022年1月の電子帳簿保存法改正により、タイムスタンプの要件が大きく緩和され、「修正・削除の記録が残るクラウドサービスの利用でタイムスタンプ不要」となりました。

複合機(プリンター)でスキャンをしてパソコンへ格納しただけでは、電子データ化して保存するための条件を満たしていないため、紙の領収書の保管も必要となります。

電子データ化するスキャナ機能には一定の条件が必要

紙の領収書を電子データ化するには、複合機のスキャナ機能で読み込ませる方法が一般的です。
しかし「電子帳簿保存法」で定められた、以下の機能やスペックを持つ機器で読み取る必要があります。

・解像度が200dpi以上(A4サイズで約387万画素相当)による読み取りができること

・カラー画像による読み取りができること

【引用】「国税庁」(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf

またこれらの機能を満たしていれば、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像による保存も認められます。

まとめ

領収書は経費でやり取りするたびに発生するため、あっというまに膨大な量となり、保管が難しくなります。
そんなときには領収書専用のファイルや、封筒またはノートに貼り付けて保管する方法があります。

しかし紙である以上紛失したり文字が消えたりするリスクは避けられません。
そこで、電子データ化して保存する方法がおすすめです。
電子データ化すれば、保存した当時のまま半永久的に保存できるため、紛失したり文字が読めなくなったりすることはありません。
ただし電子データ化したものを原本とする際は「電子帳簿保存法」に則って保存する必要があります。
複雑な「電子帳簿保存法」について、以下の記事でわかりやすく説明しているため、検討している方はぜひご覧ください。

「わかりやすく説明!電子帳簿保存法」はこちら。

この記事は2022年11月29日時点の記事です。

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